村山 誠
村山誠は「無機植物相(Inorganic flora)」を「開墾」する。 ①彼が植物を探し、本物の花を見つける。たとえば、上品なLathyrus odoratus L.。②花弁や子房をメスで解剖し、ルーペで細部を分析する。 ③ 解剖・分析された花の断片・組織のスケッチを行い、写真をとる。④3ds Max (3次元コンピュータグラフィックスソフトウェア)を用いて、花の形態や構造をモデル化する。 ⑤ Adobe Photoshopを用いて、各断片を構成し、CG上で花を再構築する。 ⑥寸法、各組織の名称、縮尺、学名などを、細かく各部位に書きこむ。 ⑦Lathyrus odoratus L.を大判プリンターで出力し、額に入れる・・・ それは「科学の全体的な認識の花」の誕生。つまり、厳しく固定化され、完全に測定され、厳格に名を付けられ、はっきり示された花である。単なる植物のイメージではなく、知性の力の表現であり、自然を観察する精巧な眼差しの表象である。村山の作品の「透明性」とは、「透明な花の容姿」を意味するだけではなく、「透明な(つまり、全体的に見える、完全に把握された)対象として表された世界」という科学の野心的な夢も表す。一見矛盾しているように思われるが、「宇宙を測る」という科学的なチャレンジこそ、村山の作品の「虚構の力」と「ロマンティック香り」の起源になるのである。村山の「花」はBotech Art 、つまりBotanical Art (植物学芸術)とTechnology(テクノロジ)の共存によって生まれた「花」である。